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映画『星に語りて』~東日本大震災、そのとき、障害のある人々に何が起きたのか~

そのとき、障害を持つ人々に何が起きたのか。

障害の有無を問わず、誰もが観てほしい映像作品。

 全国約1870箇所の障害者事業所が加盟する「きょうされん」では、1977年の結成以来、10年ごとの節目に映画製作と上映活動を実施してきました。40周年を迎えた2017年に記念作品として制作された2本の映画のうち『星に語りて~Starry Sky~』が、今年4月に吉祥寺アップリンクで劇場公開されて以来、全国で小さな上映会が行われ、話題となっています。もちろん、音声と字幕のガイド付きのバリアフリー対応です。



東日本大震災、障害のある人々と支援者たちの実話に基づいた物語


 舞台の中心は岩手県陸前高田市と、福島県南相馬市。劇中、震災発生直後から“全国障害者ネットワーク”が東京、秋田、岩手、福岡など全国のグループで連携して支援活動を始めようとします。しかし、最初に届いた情報は「障害者が消えた」。

自治体へ問い合わせても、現地の避難所を次々と回っても、障害者がいないのです。被災地では一体何が起きていたのか―。


 物語が展開していく中、偏見、誤解、法律、様々な障壁を乗り越えてやっと差し伸べられた救いの手を、拒絶してしまう障害当事者や家族たち。諦念や、ときに怒りをともなって心を閉ざすその姿に、彼らがこれまで味わってきたであろう、ささやかな、でも根深く日常的な不条理を思わずにはいられません。


障害を持つ人の死亡率は全体平均の2倍


 東日本大震災による死者は1万9000人を超えます(2018年9月気象庁発表)。岩手、宮城、福島3県の被災者死亡率は、住民全体で0.78%。障害を持つ人はその2倍の1.43%に達しました(2012年9月NHK調べ)。もちろん、逃げ遅れる可能性が高いのはある程度仕方がないことなのかもしれません。しかし、それだけではなかったことをこの作品は教えてくれます。


 非常時のためにも、平時からどのような体制作りが必要なのか。法制度や、大勢を形成する人々の潜在意識など、現在の社会構造が障害を持つ人々をどのように追いこんでしまう可能性をはらんでいるのか。大災害に見舞われたとき、自分は果たしてどのように振舞うことができるのか。苦しい自問自答の一方で、支援者たちと、障害を持つ人々やその家族とが、ともに支え合いながら、諦めずに過酷な逆境を乗り越えていくストーリーに心底救われます。


オーディションを勝ち抜いた障害当事者による演技も見どころ


 キーパーソンとなる登場人物を演じる障害当事者たちの演技にも注目です。普段、障害者就労施設で働いている彼らは、オーディションを勝ち抜いての出演。彼らの「強い人間力に圧倒されました。その存在感に心をわしづかみにされます」とは、監督を務めた松本動(まつもとゆるぐ)氏。


 東日本大震災の後、熊本地震(2016年)、北海道胆振東部地震(2018年)と、度重なる震災を経験した日本。被災地で障害者が陥りやすい状況についても報道される機会が少しずつ増えてきています。しかし、報道だけでは伝えきれない人々の心の機微を、映画はよりリアルに伝えてくれます。


 自然災害はすべての人に平等に訪れるもの。障害の有無を問わず、また地震が起こる地域か否かを問わず、すべての人に体験してほしい映像作品です。


◆ 映画『星に語りて~Starry Sky~』(2019年/115分)

※バリアフリー上映対応

監督:松本動

脚本:山本おさむ

出演:要田禎子、螢雪次朗、今谷フトシ、植木紀世彦、枝光利雄、菅井玲、入江崇史、宮川浩明、生島ヒロシ、赤塚真人 ほか

製作:きょうされん

w 今秋、ノベライズ本の出版が決定。

w 海外の映画祭出品のため、英語字幕作業中。


◆ 『星に語りて~Starry Sky~』は、全国の公民館、福祉センター等にて上映会を開催中です。上映日程は、公式サイトをご確認ください。

公式サイト


◆ 東中野で開催される『福島映像祭2019』(9/21(土)~27(金))での上映決定! http://fukushimavoice.net/fes/fes2019

「星に語りて~Starry Sky~」の上映は、

・ 9/24(火)18:30~ 1階ポレポレ坐

・ 9/25(水)15:30~ B2階ポレポレ東中野 ※いずれの回も上映後に監督や関係者による舞台挨拶あり。

ポレポレ東中野

〒164-0003 東京都中野区東中野4-4-1 ポレポレ坐ビル地下

TEL 03-3371-0088

FAX 03-3362-0083 e-mail pole3@co.email.ne.jp


◆ きょうされん40周年記念映画のもう1本は、 『夜明け前 呉秀三と無名の精神障害者の100年』(劇場公開2018年6月/66分) 第60回科学技術映像祭 文部科学大臣賞 受賞 2018年第92回キネマ旬報 文化映画ベスト・テン 第9位 上映会随時開催中。 公式サイト http://www.kyosaren.or.jp/yoakemae/

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